それは隣のご主人ですよ

新卒で入った会社はオンラインデータベースというサービスを作る会社だった。

新聞社からデータを借りて、それをパソコン通信のネットワークで流すのだ。

「パソコン通信のネットワークができてさ(当時はVANと言っていた)、なにか流すものないかなと思ったんでニュース流した」と上司が言っていた。「新聞記事って短くてちょうどいいんだ」と。

入れ物が先なのだ。別に新しいメディアを作ろうとしたわけではなかった。

街角のでかいモニターのはじっこにもニュースが流れている。一時期、ポータルサイトが流行ったときも各社とりあえず隙間にニュースを入れた。電車のモニターにもなんとなくニュースが流れている。

そこにジョークを入れる人はいない。ましてや「それは隣のご主人ですよ」みたいなアメリカンジョークも入れない。

ニュースってちゃんとしているし、埋め草としてちょうどいいんじゃないか。

そしてアメリカンジョークではなぜ隣の主人と浮気をするのだろう。(書きながらそっちに興味が移った)

桃は好きですか?

吉祥寺の駅ビルの食料品フロア、果物売り場で販売の女性が「桃はお好きですか?」と通り過ぎる人に声をかけていた。

ある男性が「ええ、まあ、はい」と答えたら、では買っていきませんかと勧めていた。

桃が好きであることと、今日買うかどうかは別の話である。

だけど、じゃあどれにする?と話をつなげているのが素晴らしい。セールストークのお手本のようだ。

いつのまにか買うことになっている。

桃というたいていの人が好きな果物を武器にぐいぐい切り込んでいく。

でもその男性は買わずに去っていった。僕は目が合いそうだったので(ああ言われたら買う自信がすごくある)そそくさと移動してイカを買って帰った。

マッチ売りの少女も「マッチを買ってください」じゃなくて「マッチはお好きですか?」と聞けばよかったのだ。

大好き!って人がいたらそれはそれでやばい。

人間国宝 宮西

人間国宝 宮西

野球中継を見ていたら、大型ビジョンにそう出ていた。日ハムの中継ぎ、宮西投手が登板したときのことだ。

「え、人間国宝なの?」と思ってしまったが、そうではない。

ファンがツイートした内容を球場の大型ビジョンに映し出す演出だったのだ。人間国宝ぐらいすごい投手ということである。

ただ、大型ビジョンにでかい文字で出されると信じそうになる。

もっともらしさとは文字の大きさかもしれない。

そう言われてみれば今年の漢字も社会主義国のスローガンもでかい。

IMG0001

YouTubeで”IMG0001″で検索して動画をよく見ている。

IMG0001はスマホで撮った最初の映像のファイル名である。世界中の「とりあえず撮った」「とりあえずYouTubeにあげた」みたいな映像が並んでいる。

どこかででかい葉っぱを刻む女性

どこかのホームパーティーの準備のようす

どこかの庭。空が青い。空気が良さそう。

どこかの監視カメラ映像。犬科の動物が歩いている。

 

デジカメだとDSC0001になることが多い。

どこかのいい音楽

どこかの結婚式。ただずっと誰かのiPhoneが鳴っている。

あたりまえだけど、どの映像もオチがない。逆にそこで終わるか!?みたいなところで終わるものも多い。まさに日常の断片である。ずっと誰かのiPhoneが鳴っている映像なんて現実じゃないとありえない。

でも世界の人たちのリアルな生活が見られてとてもおもしろい。

Airbnbで人んちに泊まっているときのような気分になれる。

 

僕ももっと日常の断片をアップしていったほうがいいだろうか。世界でIMG0001で検索している人のために。いるかな。

ドブの水で酒を薄める

クロマキー用の布にアイロンかけていて思い出した。

僕の祖父はクリーニング屋だったのだ。もともと富山の生まれで東京の大学に行ったのだがいろいろあったらしくて宮崎でクリーニング屋になった(なにがあったのかは知らない)。

酒を飲んでばかりだったという話は父から聞いた。

父は子どものころ、酒を買いに行かされたという。父は買った酒を帰りにいたずらにちょっと飲んだそうだ。
減っているのがばれないように用水路の水(父はドブの水と言ってた)を入れてかさを増やしたと言っていた。
そのドブの水で薄めた酒を祖父は飲んでいた、とのこと。

めちゃくちゃな話である。お使いの酒を飲んでそこらの水を入れてごまかす子ども、分からずに飲む親。

宮崎に行って用水路の水を見ると、これか~と思う。

お姫様脱肛

お姫様抱っこじゃなくて、「お姫様脱肛」ってどうかな?と思ったがツイートする前に検索した。

するとたくさんの人がつぶやいていた。

検索結果を見るとざっくり、ひと月にひとりはつぶやいている。

日本のツイッターのアクティブユーザは4,500万人だそうだ。ここは4,500万人がいて、ひと月過ごすとひとり「お姫様脱肛」とつぶやく星だ。

月からしてみると、地球の周りを一周するあいだにいちどだけ地表で「お姫様脱肛」と言っているのが見えるだろう。

人が生まれて死んで笑ったり怒ったりするあいだにいちどだけ「お姫様脱肛」だ。

Astronaut.io という YouTubeの再生回数0回の動画を宇宙をバックに流すサイトがある。見てるだけで泣きそうになるサイトだが、宇宙をバックにひと月にいちど「お姫様脱肛」という文字が現れるサイトを作ったら泣けるだろうか。

泣けないな。

ジャスコもあるしヘビも出る

人の地元をストリートビューで見せてもらうという遊びをしている。

動画や記事にした。

ミクロで見ると人はみな違うのだが、共通しているところもある。

・団地ではない新興の住宅地
・郊外
・一軒家。

ニュータウンの子どもたちが大人になって作ったのがデイリーポータルZなのだということが分かる。

都市が発展して郊外に住宅地を作って、そこもいっぱいになってまた郊外に作って…を繰り返した3回目ぐらいの郊外である。ジャスコ(ユニー)もあるしヘビも出る。

仕事仲間を都市計画視点で見ると新鮮だ。

セブンイレブンのトイレの彼

企業のキャラクターなのに誰も注目していないキャラクターが気になっている。


てんやのおじさん


かけそばすするくん

どちらも着ぐるみやLINEスタンプになることもなく、ポスターの端っこにひっそりと居続けている。もう10年以上だろう。

僕が最近注目しているのはセブンイレブンのトイレにいる彼だ。

彼はトイレにしかいない。そしていつも両手をあげてトイレがきれいであることに喜んでいる。

セブンイレブンの垢抜けた広告宣伝からはかけ離れた素朴さに惹かれていた。

そしていまコロナ騒動でコンビニのトイレは使用禁止になった。

数カ月間、誰も来ない暗いトイレで彼は両手を上げ続けているのだろうか。

下げてたら怖い。

ポルノに引っかかっていた時代のほうが良かった

Facebookメッセンジャーでスパムが流行っている。

あなたが出ているビデオがあるというURLが送られてきて、それをクリックすると自分もまたスパムを送ってしまうという吸血鬼のような王道のスパムだ。

それが昨日僕のところにも来た。

ほとんど話したことがない人から、あなたのビデオがあると。

お!きた!

開かないように、慎重にメッセージ一覧から右クリックで「削除」を選ぶ。うっかりクリックしないようにそーっとそーっとゆっくりと操作した。

この動き、猫が部屋でうんこした後片付けとか、ゴキブリが出たときと同じだ。

デジタルでも物理でも嫌なものに触るときの動作は同じだった。メディア論的な気付きである。

しかし「イエー!XXXポルノだよ~クリック!」みたいなメッセージではなく、「あなたが出てます」というのが的を得すぎていて気持ち悪い。ポルノよりも自分が好きというSNS時代というか、秘密にしていた趣向を突いている。

ポルノだよ~に引っかかっていた時代のほうが良かった。

酔ったときにしか見つからない店と出た記憶がない店

酔ったときにしか見つからない店と出た記憶がない店がある。

銀座に酔ったときにしか見つからない焼鳥屋があった。なんどか行ってフォアグラ串を食べた気がするが、ネットで見ても情報が見つからない。あのフォアグラは馬糞だったのかもしれない。

歌舞伎町の10円寿司も酔ったときにしか出会わないのだが、最近はようやく場所を把握できてきた。

そして五反田のシェリー酒のバーはなんどか行ったのだが、店を出た記憶がない。あの店に僕がどんどん溜まっていっているのではないか心配だ。次に行ったときにロッカーに僕が3人ぐらい詰まっていたらショックである。

最近、遠野物語を読んだらそんな話がたくさん載っていた。

迷っていると見つかる屋敷、山に棲む女

あるな~こういうこと、とうっかり共感してしまった。

しかし、山中に現れる屋敷はいろり山賊かもしれない。山口県だけど。