肩からジャケットをかける

都営新宿線 新宿駅に向かうエスカレーター脇にこの看板が出てる。

駅ビルのレストラン街の広告だ。

女性が肩にジャケットをかけているが、右でごはんを前にしたときには袖にジャケットが見える。

食べるときはジャケットを着ているのだ。

つまり、
1.憂いを帯びた表情(お腹が空いている?)でごはんを待ち
2.ごはんが来て食べようとしたがジャケットが滑り落ちそうになる
3.どこかにジャケットかけるところないか探したがちょうどいいところがないので、着ちゃうか
4.いただきます
ということだろう。ひとりで食べるには多すぎるから張り切るのもわかる。

いつもエスカレーターに乗りながら2~3のシーンを想像している。

しかしだ。肩にジャケットをかけた女性が僕の人生に登場したことがない。たまに見かけるの実在するのだろう。神戸で見た。

でも交友関係でも仕事関係でもそんな人は登場しなかった(金髪に染めている人はやたらと登場する)。同じように見えて世界は別れている。

想像だけど、肩にジャケットをかける女性の世界では、男性はみな肘当てがついたツイードのジャケットを着ていると思う。

マスクをひろった

会社に行く途中、マスクが落ちているのを発見した。

自転車でいちど通り過ぎたが戻って拾った。

ビニールに入っているので使える。包装をチェックしたがどこにもあけた痕跡がない。

使ってみようと思ったが、落ちてるものを装備するのはなかなか躊躇する。

ドラクエなどのRPGでは普通にやっていることだが、実際にやるのには勇気がいる。あの勇者ってさすが勇者だ。

しかし品不足のマスクを拾ったのが面白くて会社で自慢すると「金拾ったようなもんですね」と言われる。

いや本当だ、これでそこらの飲み屋でハイボール一杯ぐらいは飲めるんじゃないか、そんなことを話して笑った。

………。

ナチュラルに狂ってる。

何を話しているんだろう?マスクを拾って嬉しい?それでハイボールが飲める?

※2020年2月は新型コロナウイルスというのが流行っていてマスクや消毒液が品切れになっています。

こういう注を入れないと後でこれを読んだ人が分からないだろう。

あとから思えばあれは何だったんだろう?の代表はWindows95を買うために並んだことだ。だって、OSである。ゲームとかじゃなくて、オペレーティング・システム。なんでそんなものを並んで買ったんだろう。

Windows95の発表会でマイクロソフトの首脳陣がダンスしている。

未来に語り継ぎたい「いま思えばあれなんだったんだろう」である。

銀行のプリンタ

確定申告をするためには銀行の通帳の記録が必要になる。

しかし通帳記帳なんてめったにしないのであわてて銀行に行く。だが明細が多いと「未記帳分合算」と1行でまとめられてしまうのだ。

合算されたぶんを印字してもらうために窓口で申込書を書くと、だいたい1週間ぐらいかかる。

WindowsだったらCtrl+P、Macだったらoption+Pだが、1週間だ。どんなパソコンを使っているんだろう。

・キーボードのCtrlキーとPのキーが離れていて一緒に押せない
・離れているどころかPだけ別の事業所にある
・P のまわりには人喰いトラがうろうろしていてる
・そのトラをP のキーから離すために特別な料理を作らないといけない
・その料理に入れる葉っぱを南海の孤島のてっぺんまで取りに行く

支店長が崖を登ったり、トラに喰われたりして僕の明細が届く。しかたあるまい。

教材ビジネス

喫茶店で仕事をしていたら隣で教材の売り込みをしていた。

「教材代はかかりますが、3ヶ月めから仕事が来るので、お金を払うのは実質最初の2ヶ月だけです」

典型的な教材ビジネスである。

「手に職をつけたいと思ってたんです」
「いまの給料で終わる気はないんで」

売り込まれている青年もやる気である。だが、その教材セットは初期に50万かかるという(高え!)。セールスマンはクレジットカードを持っているか聞くが

「いや、もってません!」「貯金もありません!」

と気持ちのよい答え。でも

「でも、アメックスを作れば100万ぐらい借りられるんですよね!」

と清々しい。セールスマンは思わず

「いや、人によります!」

と正論を言ってしまっていた。

怪しい教材ビジネスのセールスマンに正しいことを言わせた彼は何かしらの教訓を与えているのかもしれない…

と思ったが、「前に英会話の教材も買ったんですよ~(笑)」と言ってたので違うだろう。

バルブ

うんこしたくなってトイレに行ったら個室が空いてなかった。

小便しながら開くのを待つことにしたのだが、これが難しいのだ。

ばーんと気を緩めるとうんこが出そうになってしまう。連動するふたつのバルブを微妙に調整しないといけない。

こんなに難しかったっけ?というかこの状況が生まれてはじめてかもしれない。48年も生きてて?

大雨のときのダムの管理者のようなバルブ操作でピンチをすり抜けたが、開放感はなかった。問題がひとつ解決していないからだ。

いろんなことを知っているつもりになっているが、知らないことばかりである。

DJ上司

夕方、よその会社に行ったら社内イベントがあるとのことでざわざわしてた。

「これから上司がDJをやります」

だそうだ。ついにそんなしりあがり寿や渋谷直角のまんがみたいなことが現実になったのか!色めき立ってしまった。

上司のDJに付き合う部下。僕が20代だったらVJを申し出てアピールするかもしれない。出世のVJ。

君もどうかねと言われた部下は上司よりも絶妙な選曲やつなぎをしてはいけない。2020年のビジネスマナーである。

しかし僕みたいなおっさんがDJやって、若者に曲を語らせてくれる店があったら通ってしまうかもしれない。

おれやろうかな。

地面はけっこううんこくさい

ほかの40代会社員よりも自信があることがある。

地べたに座った時間が長いことだ。

デイリーポータルZの取材で外に出て、時間が長くなって疲れて地べたに座る。寝っ転がったこともある。大自然のなかではない、多摩川とか代々木公園とか、趣のない近所でだ。

それで発見したことをみんなに教えたい。

 

「地面はけっこううんこくさい」ということである。

 

明らかにうんこがあるのではなく、ほんのりうんこくさい。the Earth はうんこくさいのだ。

植え込みから石を拾ってきて家で磨いたこともある。石を持ち歩いているときはなにも感じないのだが、家でブラシで磨くと急にうんこくさくなる。きれいな石を選んだつもりでも、外の層をけずると、くさい。

石も地面も長年そこにあって、何度かうんこに触れた記憶がかすかな匂いになって残っているのだろう。

大地の記憶、みたいな話だけどぜんぜんいい話ではない。

石なんて家の風呂場で洗ってしまった。

公式アプリマニア

お店に「〇〇アプリを入れよう」と書いてあると素直に入れることにしている。

おかげで僕のiPhoneにはこれなんだっけと思うアプリがたくさん入っている。やよい軒、ベローチェ、AR長岡京、金の蔵、さいたまゴミ分別アプリ、ITA-マニア。

ITA-マニアは板橋区の観光アプリである。板橋区と観光という組み合わせが二物衝突のようでいきなり良い。

「穴場好き」「有名所好き」など好みのパラメータを設定すると板橋区の観光ルートを作ってくれるのだ。こども動物園とか土手とか渋い場所ばかりだが、全行程8時間のハードなコースも設定可能である。

なぜ?!という言葉を飲み込むようなアプリだが、これはあれだ、区役所に置いてあるパンフレットの味わいがそのままアプリになっているから惹かれるのだ。

AR長岡京は起動したら長岡京跡に貴族が現れた。

京都で時間があまったから酔狂で長岡京を訪れた僕にはちょうどよい酔狂さだった。

やよい軒アプリは入れるとエビフライをくれた。

iPhoneのスクリーンにアイコンが追加されると世界からエビが消えるのだ。

いよいよデジタルネイティブである。適当書いてる。

ドリンクバーにドンペリ

ファミレスが24時間営業をやめるというニュースを見た。

いっそのこと1日2時間しか営業しないのはどうだろう。たとえばサイゼリヤが11時から13時までしか開かない世界。あ、並んでしまうかもしれない。

サイゼリヤに入れた。いつか行きたい。そんなことをみんなSNSで書く。

『ドレッシングは何にも似てない。料理はうまいけど、水はセルフなんだよ』 そんなことを語ってしまいそうだ。

その世界では「ドリンクバーにドンペリ」ぐらいの冗談として「サイゼリヤが深夜営業」という冗談があるだろう。

「ありえない。夢みたいじゃん!」と格安外食チェーンの叙々苑で肉を食べながら大笑いするのだ。

(その世界では叙々苑は「ジョジョギュウ」と呼ばれている)。

松屋であいがけカレーとか食べてるとき、これが地方都市の古い喫茶店の名物メニューだったら取材に行くだろうな、とか考えてる。

ホイコーローを食べてよい

むかし、なにかのプロジェクトのキックオフ飲み会でカラオケ屋に行った。二次会か一次会か忘れたが、なぜかそういう流れになった。

めいめいドリンクを注文するとき、エンジニアが

「ホイコーロー」

と言った。え、そういうのあり?!と全員思った。(打ち解けていたのでちゃんと突っ込んだ)。

マネージャーがアリスを歌ったり若手が安室奈美恵を歌うときも、彼は薄暗い部屋で笑いながらホイコーローを食べていた。

さっきそういうのありかよ!と言ったけど正直ホイコーローが羨ましかった。そこにいた大半の人がそうだったと思う。そういうのはありだったのだ。

いつでも僕らはホイコーローを食べてよい。自ら制限を設けるな、ということを彼は教えてくれたのだと思う。(ちょっともらった)

その後、彼はプロジェクトでとくに仕事をしているようすはなく、ホイコーローの思い出しかない。