怖い人

知人は店をやっていて、となりに怖い人が住んでいる。

だがその怖い人はふたごで、同じ顔で優しい人も一緒に住んでいる。

話してみないと怖い人か優しい人かわからない、とのこと。

(この設定だけで最高でしょう)

旅行のおみやげを隣に持っていったら喜んでくれた。優しいほうの人だった。やった!

翌日、あれ美味しかったでしょう?と話しかけたら「そんな物もらってないぞこのやろう!」と怒鳴られたそうだ。怖い人だった。

ゲームのようだ。「怖いほうの人だった。ゲームオーバー」である。

そして優しい人は怖い人にもらったお菓子をあげてないことがわかる。

もっと展開して、実はひとりでしたとか、踊る3人目とかが登場してほしい。他人事だから。

通夜の酒のうまさ

お通夜で酔っぱらったことがなんどもある。

奥に通されて遠慮しながら寿司をつまみ、とっくり型の1合瓶がやたらとうまく感じてしまうのだ。

↑こういうやつ

《いま酔ってはいけない》という意思がまた酒をうまく感じさせる。

会場ではシャンとしたが(自分としては)、会場を出た途端にでろでろになって帰りの商店街でゲームソフトを爆買したこともある。

あの安い清酒が秘密ではないか。そう思ってあの酒と安い寿司をライフで買った。

やっぱりあの空気がないと酔えない、

なんてことはなく寿司は旨く、しっかり酔えた。しかも誰も死んでないし最高じゃん。

これ、ただの家飲みだな。

度を越えた正直さ

小田急に乗ってたら世田谷代田で母と子が乗ってきた。

二人ならんだ席は空いてなかったので、母は子に「そこに座りなさい」と言い、自分はちょっと離れたところに座ろうとした。すると子がきっぱりと

「離れているのは、嫌」

そう言った。

甘えたことなんだけど、その力強さにすこし感心した。彼の学校の標語は「ちゃんと自分の意見を言える子」かもしれない。

たまにニュースでも「欲望に負けてしまった」「海外旅行に行きたかった」などと動機を潔く話す人を見る。

「堂々としているな」と思う。

むかし、取引先を紹介してくれた人に「あの場でうちの手数料いらないっていったのは客の手前、いい顔をしたかったからだ!」と言われたことがある。「だから手数料を裏でよこせ!」とも(怖ええー)

度を越えた正直さはギャグなんじゃないだろうか。

人間の凶器

高校の体育で柔道があった。柔道の最初の授業で体育教師が「人間には凶器があるのを知っているか?」と問いかけてきた。

人間の凶器?

ははーん。狂気だ、と思った。柔道に夢中になるあまり、我を忘れてしまうこと。凶器と狂気をかけてるのだろう。

指されたらそう答えよう。だが教師は別の生徒を指した。

生徒:「爪です」
体育教師:「正解」

具体的で単純な話だった。指されなくてよかった~。ドヤ顔で「狂気、狂うに気持ちって書く狂気です」と言ってしまうところだった。言ってたらすげえ恥ずかしかっただろう。よかった~。高校3年間のニックネームが「狂気」になるところだった。

もう30年も前の話だが、その安堵だけずっと覚えている。

どんとこい

このまえとある小売店で、社内用のパソコンがカウンターの上に置きっぱなしになっていた。

社内システムらしき画面が出ていたが、そのタイトルは「どんとこい」だった。

気になって調べたら、アパレル店舗用の販売管理システムの名前だそうだ。

たいていの会社は勤怠管理、経費計算のサービスを導入してて、それがわりと「らくらく」とか「サクサク」などくだけた名前である。

なのに社内では一般的になっていて「らくらく入れておけって言ったろ」「サクサクをやってない人、人事からアラート出てます」などと当たり前のように言うのが面白い。わかるけど、なにを言ってるのだ。
先の小売店も「どんとこいの数字見てください」などと言っているだろう。

むかしのサラリーマンがコピーのことをゼロックスと呼ぶのって、そういう会社ことばが一般化したってことなんだろうか。

UFOキャッチャー

クレーンゲームをUFOキャッチャーと呼ぶ。セガの登録商標だと思うが、改めて見てみると実物はかなりUFOに関係ない。

だってUFOの部分がこれしかないのだ。

考えてみたら、このゲームはキャトルミューティレーションをする宇宙人の立場に立つゲームである。もしくはエイリアン・アブダクション(宇宙人による誘拐)。

宇宙人による仕業は実はあんなに難しかったのだ。クレーンは頼りないし、なぜか右と前にしか進むボタンしかない。

UFO内部では「ちょっと横から見てて」「あー行き過ぎ~」「両替してくる」なんて会話がされていると思う。

現場の宇宙人からもクレームがきているだろう。戻るボタンを付けて欲しい、と。

よくあるSFのように、実はUFOキャッチャーは宇宙人によるキャトルミューティレーション要員を選抜するためのもので、あれで好成績を残すとUFOで本採用される、なんてこともない話ではないかもしれない。頑張りしだいでUFOの正社員に。

車や家をUFOキャッチャーの景品のぬいぐるみでいっぱいにしているとUFOに連れて行かれる。

UFOキャッチャーはゲームをしてないとき、物悲しい音楽が流れているがあれはソニック・ザ・ヘッジホッグの曲である。そしてその曲を作曲したのはドリカムのベースの人だ。

これを聞くと1990年代のすすけたゲームコーナー(ゲームセンターではない)にいる気持ちになる。

いつか歌詞をつけてドリカムの歌にして欲しい。

それは隣のご主人ですよ

新卒で入った会社はオンラインデータベースというサービスを作る会社だった。

新聞社からデータを借りて、それをパソコン通信のネットワークで流すのだ。

「パソコン通信のネットワークができてさ(当時はVANと言っていた)、なにか流すものないかなと思ったんでニュース流した」と上司が言っていた。「新聞記事って短くてちょうどいいんだ」と。

入れ物が先なのだ。別に新しいメディアを作ろうとしたわけではなかった。

街角のでかいモニターのはじっこにもニュースが流れている。一時期、ポータルサイトが流行ったときも各社とりあえず隙間にニュースを入れた。電車のモニターにもなんとなくニュースが流れている。

そこにジョークを入れる人はいない。ましてや「それは隣のご主人ですよ」みたいなアメリカンジョークも入れない。

ニュースってちゃんとしているし、埋め草としてちょうどいいんじゃないか。

そしてアメリカンジョークではなぜ隣の主人と浮気をするのだろう。(書きながらそっちに興味が移った)

桃は好きですか?

吉祥寺の駅ビルの食料品フロア、果物売り場で販売の女性が「桃はお好きですか?」と通り過ぎる人に声をかけていた。

ある男性が「ええ、まあ、はい」と答えたら、では買っていきませんかと勧めていた。

桃が好きであることと、今日買うかどうかは別の話である。

だけど、じゃあどれにする?と話をつなげているのが素晴らしい。セールストークのお手本のようだ。

いつのまにか買うことになっている。

桃というたいていの人が好きな果物を武器にぐいぐい切り込んでいく。

でもその男性は買わずに去っていった。僕は目が合いそうだったので(ああ言われたら買う自信がすごくある)そそくさと移動してイカを買って帰った。

マッチ売りの少女も「マッチを買ってください」じゃなくて「マッチはお好きですか?」と聞けばよかったのだ。

大好き!って人がいたらそれはそれでやばい。

人間国宝 宮西

人間国宝 宮西

野球中継を見ていたら、大型ビジョンにそう出ていた。日ハムの中継ぎ、宮西投手が登板したときのことだ。

「え、人間国宝なの?」と思ってしまったが、そうではない。

ファンがツイートした内容を球場の大型ビジョンに映し出す演出だったのだ。人間国宝ぐらいすごい投手ということである。

ただ、大型ビジョンにでかい文字で出されると信じそうになる。

もっともらしさとは文字の大きさかもしれない。

そう言われてみれば今年の漢字も社会主義国のスローガンもでかい。

IMG0001

YouTubeで”IMG0001″で検索して動画をよく見ている。

IMG0001はスマホで撮った最初の映像のファイル名である。世界中の「とりあえず撮った」「とりあえずYouTubeにあげた」みたいな映像が並んでいる。

どこかででかい葉っぱを刻む女性

どこかのホームパーティーの準備のようす

どこかの庭。空が青い。空気が良さそう。

どこかの監視カメラ映像。犬科の動物が歩いている。

 

デジカメだとDSC0001になることが多い。

どこかのいい音楽

どこかの結婚式。ただずっと誰かのiPhoneが鳴っている。

あたりまえだけど、どの映像もオチがない。逆にそこで終わるか!?みたいなところで終わるものも多い。まさに日常の断片である。ずっと誰かのiPhoneが鳴っている映像なんて現実じゃないとありえない。

でも世界の人たちのリアルな生活が見られてとてもおもしろい。

Airbnbで人んちに泊まっているときのような気分になれる。

 

僕ももっと日常の断片をアップしていったほうがいいだろうか。世界でIMG0001で検索している人のために。いるかな。