三角コーンを傍らに

大腸検査では直腸に「ちょっとしたおできみたいなもの」があったので組織をとって検査にまわすことになった。

僕は不動産屋のカウンターで店員が電話で物件の空き状況を確認しているとき、
「これ必死で探してるアピールかな」
「ついさっき決まっちゃいましたって言ってるけど相手もグルかな」
「そもそも受話器持ち上げてるけど電話かけてなかったりして」
「この人は本当に不動産屋だろうか」
「ここ、不動産屋かな」
と考えるぐらい人を信じないので、「ちょっとしたおでき」も重大な病気と脳内で変換された。

2週間後、検査結果を聞く予約は9時だった。午後からデイリーの撮影がある。三角コーンが必要な撮影だったのだが、そうすると診察室に三角コーンを持って入ることになる。三角コーン傍らに深刻な結果を聞くのはどうなんだ。

そんな組み合わせ、とっちらかりすぎて説明がつかない。でも現実はたまにそういうことがある。

でもそんなショックを乗り越えておちゃらけたデイリーの撮影をするおれもかっこいいなとも思った。

結果は異常なし、おできもなんともなかった。おできの写真を見せてくれたが、蚊に刺された跡より小さかった。

こんな大きさなら「ちょっとしたおでき」って言ってくれよ。

おできのほか、医師は腸の写真を見せてくれた。写真は腸の奥から肛門に向かって進み、最後に肛門のところで痔がありますねと言った。痔を腸の側から見たのは新鮮だった。

いくつかの塊があっちこっち向いていて、ラシュモア山の大統領像に少し似てた。